【実体験】バンダバーグ事件簿:ワファームで経験した日本人差別を含むトラブル

オーストラリア生活

 

オーストラリアでのワーホリは、多くの日本人にとって貴重な経験になるものです。英語の習得、異文化交流、そして何よりセカンドビザを取得するためのファームジョブ。私もその一人でした。しかし、そんな中で経験した事件は、想像以上にリアルで、今振り返っても多くのことを考えさせられる出来事でした。

前回まではファームで働いていたときに全体的な概要についてお話ししました
(まだの方はこちら)

今回は、その全貌を赤裸々に語りたいと思います。これからワーホリに行く人、現在進行形でセカンドビザ取得を目指している人にとって、少しでも参考になれば幸いです。


 

事件のきっかけ

 

事件の発端は、ある日突然に起きたわけではありません。じわじわと静かに積もり上がっていた不満や嫉妬が、あるきっかけで爆発したのです。

当時、私が働いていたファームには、イギリス人、カナダ人、フランス人など様々な国のバックパッカーがいました。しかしアジア人は日本人だけ。その中で、日本人の多くは「真面目に働く」という文化がバックグラウンドにあるため、他の国の人たちより熱心に働いていたことは間違いありません。

ただ、これが問題だったのです。

日本人の働き方があまりにストイックであるがゆえに、他国の人たちは「自分たちも同じように働かざるを得ない」というプレッシャーを感じ始めたようでした。特にマネージャーも日本人には寛容な姿勢で対応していたため、余計に不満が溜まっていたのかもしれません。

 


 

徐々に明るみに出た陰口

 

最初に「日本人が陰で罵られている」と私に話してきたのは、同じ日本人の男性(仮にB君とする)でした。B君は少し変わった性格で、普段は穏やかな性格であるものの、自分にほんの少しでも被害があると途端に牙を剥き、口撃してくるタイプ。性格がネチっこく陰湿で日本人以外からは奇妙に思われてました。そんな彼から聞いた話だったので、最初は半信半疑で話を聞き流していました。

ですが、次第に他の日本人からも同じような噂を耳にするようになりました。
例えば、「寝ている間に『このクソ日本人が』と耳元で呟かれた」とか、「あいつら(日本人)がいるから仕事がきついんだ」とフランス人やカナダ人が愚痴っていたという話など…。私は当時あまり英語が聞き取れなかったこともあり、実際に自分でそういった言葉を聞いたわけではありません。しかし、同じような証言が増えるにつれて、「もしかしたら本当なのかもしれない」と思うようになっていきました。

そして、次第に彼らの行動が表にも出るようになっていきました。

 

問題の人物たちは、次第に日本人と同じ仕事をするようになると「仕事をしているフリ」をするようになりました。時給制のシフトでは特に顕著で、日本人が真面目に作業している間、彼らは雑談をして時間を潰していました。

私はというと、過去にファーム選びで何度も騙されてようやくたどり着いたこの職場を絶対に失いたくなかったので、彼らの行動に巻き込まれないよう、自分の仕事だけに集中するようにしていました。トラブルに関わるくらいなら黙っていたほうが得策、という考え方です。

しかし、それでも事件は避けられませんでした。

ある日、私はちょうどファームの就労日数が半分(44日)を越えたこともあり、1日だけ休みをもらってブリスベンに遊びに行きました。その間、日本人男性はB君たった一人。もともと誰かと一緒に行動したがるタイプの彼は、私がいないその日をきっかけに、行動に出たのです。

彼はその日、仕事を休んでオーナーに直談判。「今までの差別的な被害を受けていたこと」「それが原因で辞めたいこと」を訴えたそう。

実は彼ら(問題のある外国人たち)は以前からトラブルを起こしており、過去に辞めていった日本人からも同様の報告があったそうです。その日本人はオーナーからの信頼も厚かったため、今回の訴えもすぐに信じてもらえたようで、オーナーはその日のうちに彼らの解雇を決定しました。

私はその日休みだったので、最初はオーナーから「何か知ってる?」と連絡をもらって初めて事態を知りました。ただB君が辞めたがってることぐらいしか詳細は分からず、帰宅してからシェアメイトに聞いても「とにかく彼らがクビになったらしい」ということしか分かりませんでした。

そして週明け、経営者側から正式に説明がありました。

彼らの解雇理由は、「日本人に対する人種差別的な発言・行動を日常的に行っていたため」。彼らと仲の良かった数名が弁明を試みましたが、オーナーは「これは決定事項。文句を言うならお前らもクビだ」と断固とした態度でした。

解雇されたイギリス人女性の親友であるドイツ人の女の子は泣いており、数日はファーム全体に沈んだ雰囲気が漂いました。しかし、問題の根源がいなくなったことで職場の空気は次第に明るくなり、むしろ新しい仲間も加わって結束力が高まったように感じました。

告発をした彼はその後、気まずさからか自らファームを去っていった。彼がいなければこの問題は表に出なかったし、その後の快適な環境もなかったのかもしれない

一方で、彼自身も少し変わった性格の持ち主だったので、彼がいなくなったことでまた違った意味で空気が安定した部分もあった。

人との関わり方や立ち回りの難しさを改めて痛感させられた経験でした

 


 

最後に

バンダバーグ事件を経験して思ったことは、「どんな環境でも人間関係は避けて通れない」ということ。特に海外では文化や価値観の違いが大きく、それが摩擦を生みやすくなります。

ただ、その中でも「自分がどう行動するか」「どこまで関わるか」は自分で選ぶことができます。私はこの事件を通して、海外で生き抜く力と、冷静に状況を見極める判断力を少しだけ養うことができたように思います。

そして何より、問題のある人がいなくなった後のファーム生活は本当に楽しく、仲間たちとの時間は一生の思い出になりました。

これからワーホリに行く皆さんも、トラブルに巻き込まれないよう注意しつつ、何かあったときは一人で抱え込まずに信頼できる人やマネージャーに相談してください。真面目に頑張る人が報われる社会であってほしいと、心から願っています。

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